グルジア語 勉強庁
文  法
動詞〈0〉 概 要
マーク  introduction
 グルジア語の文法で一番厄介なのは動詞でしょう。とはいえ、言語学者でないかぎり文法を最初に一から十まで学ぶ必要はなく、会話の例文を見ながら適宜確認すれば十分かと思います。そのためにはある程度の予備知識が必要になるわけですが……。
 このページではグルジア語の動詞を学ぶための準備をしたいと思います。
マーク  contents
1. 動詞の構成
2. 動詞の分類

1.動詞の構成

 英語の動詞変化は、せいぜい3人称単数現在形で -s が付いたり、過去形で -ed が付く程度です。独仏露語にしても、基本的には法や時制と人称に応じて語尾が変わるくらいです。
 それに対し、グルジア語の動詞は残念ながら(?)いろんな要素が付いたり落ちたりします。最初はめまいがすることもありますが、試験勉強ではないので、例文を理解したいときにちょっとずつ覚えていけばいいように思います。

 マーク 1. 1 構成要素

 前置きはこのくらいにして、動詞の成り立ちを見ることにします。動詞の要素を全部示すとおおよそ下の表のようになります。これで1つの動詞だと思うと呆然としますが、すべてが同時に存在するとは限らず、また物事にはそれなりに傾向というものがありますので、こういう構成であることを何となく覚えておけば、あとで動詞の文法説明を見るときに役立つかと思います。

マーク 動詞の主な構成要素
前綴り 人称接辞 語 幹 活用語尾 人称接辞
前母音 語 根 語幹接尾辞
  前綴(つづ)り:文法用語では「動詞接頭辞」といいます。
  語幹接尾辞:「P/FSF」と略すことがあります。
〈参考〉Aronson 2.0 (pp.40-41), 表B.1 (p.465)/エクスプレス p.45, p.58

 各要素の説明は ☞ 動詞 0.1:構成要素 をご覧ください。

2.動詞の分類

 マーク 2. 1 4つの活用群
 グルジア語の動詞は大きく2つの活用グループに分かれます。これを『エクスプレス』に倣(なら)って第1活用の動詞および第2活用の動詞と呼ぶことにします。各グループはさらに2つのサブグループに分かれ、全体で1類から4類までの4つの活用群に分類されます。
 それぞれの特徴と合わせてまとめてみます。
区 分 主な特徴
1類: 他動詞(=直接目的語を取る) 第1活用
2類: 自動詞。
 d 語幹:生起・変化
 i 語幹:受け身など
第2活用
3類: 自動詞。進行中のことを表すことが多い。 第1活用
4類: 感情や知覚を表すことが多い。 ほぼ第2活用
 上に挙げた特徴はおおよその傾向なので、参考程度にご覧ください。
 1類と2類の動詞には「隠す」v.s.「隠れる」(または「隠される」)のような対応をもつものが多くあります。
 3類の動詞には、たとえば「話す」「住む」「働く」「笑う」などがあります。
 マーク 2. 2 時・相・法 screeve
 印欧語と同様、グルジア語の動詞にも現在形、未来形、命令法、各種完了時制といった時制、相、法があります。ただし、グルジア語の場合、時制といっても必ずしも現在・過去・未来という時間だけを示すとは限らず、進行(〜している)や完了(〜し終えた)などの相も同時に表します。

 そこで、時制、相、法などを一言でまとめて表す呼び方として、文法学者は screeve という独特の文法用語を使います。
 私にはその訳語がわかりませんので、弊サイトでは便宜的に「時・相・法」ないし「時相法」と呼ぶことにします。現在形、未来形、命令法などは、いずれも〈時・相・法〉のひとつです。

 動詞変化の観点で見た場合〈時・相・法〉は次のように分類できます。
 ここで、色分けした縦のグループを「系列」と呼ぶことにします。
 現在系列と未来系列は変化が似ているので「現在・未来系列」とまとめて呼ぶこともあります。その場合、グルジア語の〈時・相・法〉は「現在・未来系列(左側の緑とグレー)過去系列(右側の緑)、そして「完了系列(右側のグレー)の3つのグループに分類できます。

〔時・相・法のグループ分け〕
現在系列 未来系列 過去系列 完了系列
現在・未来 現在 未来
過 去 未完了 条件法 不定過去 現在完了
接続法
現在
接続法
未来
願望法 過去完了
 〈参考〉
 ❐ 上表 ☞ Aronson 付録Bへの補遺 (p.462)
 ❐ screeveについて ☞ Aronson p.41, p.44/Wikipedia(英語)

 動詞の概要の説明は、これで終わりです。第1活用と第2活用の動詞の変化については、該当ページがあるものはそちらをご覧ください。

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2012.3.04 phpへの移行、1節後半の分離と2節の追加
2003.1.21 初 版