0.はじめに

　グルジア語の動詞は１類から４類までの4グループに分類されます（☞「動詞, 概要」）。３類動詞は基本的に自動詞です。２類の自動詞が主として変化を示すのに対し、３類動詞は主として状態や継続中のことを示します。たとえば、働く、勉強する、住む、などです。

1.３類動詞

  1. 1　３類動詞の変化

　３類動詞の変化は一般に１類動詞と同じです。したがって「動詞, １類動詞の現在形と未来形」に載せた１類動詞の変化表がそのまま３類動詞に使えます。参考までに以下に再掲します。
※1･2人称の単数と複数は接辞 თ (t) が違うだけなので、下の表では単数と複数をまとめて表しています。語尾に თ (t) が付く形が複数形（私たち、あなた方、敬称のあなた）です。

　表中、グルジア語の□と英字転写の[ ]は語幹を表します。語幹に対して上の接辞を付けると現在形および未来形のできあがりです。ただし、３類動詞は現在形と未来形の関係が１類動詞と異なります。

　１類動詞では、一般に未来形の前綴りを取ると現在形になりました。３類動詞では、一般に現在形の前母音を i(ი) に、そして語幹接尾辞を -eb(ებ) にすると未来形になります。

 ３類動詞の未来形 → 現在形の前母音を i(ი) に、語幹接尾辞を -eb(ებ) に
（前母音や語幹接尾辞を含む動詞の基本構成については ☞「動詞, 概要」をご覧ください）

 例
　例として「住む」の変化を取り上げます。1･2人称の単数と複数は活用語尾がないので、人称接辞をまとめて示します。上の変化表に示したように、主語が1人称のときは語幹の前にvを、主語が複数のときは語幹の後ろにtを付けます。

  1. 2　例外と不規則な動詞
　参考 ☞ Aronson p.216 注3

（a）語幹が en で終わる

未来形 → 語幹接尾辞を付けず、前母音を i(ი) にするだけ。
例　飛ぶ：3人称単数現在 ფრენ-ს (pren-s)  未来 ი-ფრენ-ს (i-pren-s)

（b）不規則な未来形

	3人称単数 現在	3人称単数 未来
働く	მუშა-ობ-ს (muSHa-ob-s)	ი-მუშავ-ებ-ს (i-muSHav-eb-s)
勉強する	სწავლ-ობ-ს (sTS'avl-ob-s)	ი-სწავლ-ი-ს (i-sTS'avl-i-s)
走る	-რბი-ს (-rbi-s)	-ი-რბენ-ს (-i-rben-s)
▸ 「走る」では動詞の先頭に方向を示す接頭辞が付きます。 　そのため頭にハイフンを付けています。
〈参考〉  働く ☞ エクスプレス p.71／Aronson p.226  勉強する ☞ エクスプレス p.71／Aronson p.57  走る ☞ Aronson p.216 注3

「走る」の現在形は「行く」と同じような変化をします。変化形は次のとおりです。