グルジア語 勉強庁

音と文字・1

マーク  introduction
「音と文字」ではグルジア語の音についてまとめてみました。文字との対応がわかるように、文字も併記します。ちなみに私がグルジア語を実際に耳にしたのは、グルジアを旅した1週間ほどの間だけです(笑)。

0.概 要
具体的な説明の前に、グルジア語の音について簡単にご紹介します。

0.a母 音
グルジア語の母音は、a、e、i、o、u の5つだけです。「aとeの中間」のような中途半端な(?)音はありません。また長母音や二重母音もありません。たとえば「aa」という音は「アー」と伸ばすのではなく、「アア」とアを2つ続けて発音します。

0.b子 音
特徴的なのは、「GH」や「q'」の音(*1)があることと、有気音/放出音(*2)の区別があることでしょうか。有気音というのは子音を強く発音すればいいのですが、放出音はコツがいりそうです……。あと、子音がいくつも連続する単語は、発音がやっかいかもしれません。

(*1) 口蓋垂摩擦音というようです。
(*2) 放出音:Aronsonテキストのp.16には「glottalized voiceless stops(無声声門閉鎖音)」と書かれてますが、正確には放出音 [→ウィキペディアというようです。弊サイトでは「放出音」と呼ぶことにします。

(1) 有気音と放出音
k, p, t, c, CH の5つの子音(これを閉鎖音または破裂音といいます)には、それぞれ有気音放出音という2種類の音があります。

有気音は、「いたっ!」「ぱんっ!」のように、発音するときに口から強く息が出る音です。これに対し、放出音は息によって発音するのでなく、「困ったなあ」や「ぴったり」の「た」のように、声門(のどの奥)を開くことによって声を出す音です。ほんとはもっと複雑みたいですが……。弊サイトの英字表記では、放出音にアポストロフィ(')をつけて区別します。

(2) GH英字表記:GH
KH は、ドイツ語の「バッハ」の ch やロシア語のхに近い音とのことですが、これが濁った音(有声音)が GH です。アラビア語の「ガイン Ghayn」の音だとする説明もあります。のどの奥で息を摩擦させて発音する──のだそうです。「エクスプレス」p.15には「うがいするようなつもり」と書かれています。

(3) Q英字表記:q'
この音については、私もいまだによくわかりません(笑)。のどの奥から発音する「カ」だそうです。アラビア語の「カーフ Qaaf」の放出音だとの説明もあります。

(4) 子音群
グルジア語では、子音がいくつか連続して現れることがよくあります。たとえば tkvsKHv などです(KHはこれでひとつの音を表します)。このような子音のまとまりを「子音群」または「子音クラスタ」といいます。

子音群には、似た性質の子音が連続し、子音群を1回で発音する同類子音群と、たんに子音が続いているだけの非同類子音群とがあります。詳しくは、次の「音と文字(2)」と「同(3)」で取り上げます。

〈参考〉Aronson, p.15の“harmonic cluster”

revisions
2012/1/03 HTML4.01への対応+加筆修正
2009/2/15 「放出音」に関する注を追加
2001/10/31 全体的な書き直し
2001/5/31 「結合クラスタ」の訳語を「調和クラスタ」に修正
2001/5/30 新しく《§0.概要》を追加。§1は次ページに移動