0.はじめに
英語のbe動詞にあたる動詞の呼び名は、ここでは動名詞形の q'opn-a を用いることにします。『エクスプレス』では、3人称単数現在形から არის(aris)と呼んでいます。見た目は全然違いますが同じ動詞です。
1.q'opn-a の現在形
動詞 q'opn-a の現在形は微妙に不規則なので、そのまま覚えるしかなさそうです。とはいえ語幹が ar か ar-i なので、英語の am/is/are に比べれば楽勝です。特徴は2人称の人称接辞が ხ (KH) になる点です。
▸ 発音のヒント:英字転写の KH は、のどの奥で息をこする摩擦音です。弊サイトではひらがなの「は」行で表しています。
▸ 目上の人や初対面の相手に対しては、相手がひとりでも2人称複数形を用います。
動詞「〜です」の現在形
人称 |
|
単数 |
|
複数 |
1 |
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ვ-არ
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|
ვ-არ-თ
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|
|
(v-ar)
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(v-ar-t)
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2 |
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ხ-არ
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ხ-არ-თ
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(KH-ar)
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(KH-ar-t)
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3 |
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არ-ი-ს
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არ-ი-ან
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(ar-i-s)
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(ar-i-an)
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短縮形 ა (a)
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|
参考 ☞ Aronson p.66/エクスプレス p.23, p.26
短縮形:3人称単数には ა (a) という短縮形があります。この短縮形は母音の後ろに付き、直前の語と一体的に書かれます。
1人称と2人称については、単数と複数の違いが語尾 თ (t) の有無だけなので、下の表のように単数と複数をまとめて表すことができます。慣れればこちらの形式のほうが見やすいと思います。
カッコ内の თ (t) を付けたものが複数形(私たち、あなた方、敬称のあなた)です。付けないものが単数形(私、君)です。
- 人称
- 変化形
- 1
-
ვ-არ (-თ)
-
v-ar (-t)
- 2
-
ხ-არ (-თ)
-
KH-ar (-t)
- 3 単
-
არ-ი-ს
-
ar-i-s
-
-
短縮形 ა
-
a
- 3 複
-
არ-ი-ან
-
ar-i-an
参考 ☞ Aronson p.66/エクスプレス p.23, p.26
短縮形:3人称単数には ა (a) という短縮形があります。この短縮形は母音の後ろに付き、直前の語と一体的に書かれます。
— 短縮形の例 —
・(母音に付く例)ダビットはグルジア人です
დავითი ქართველი არის (daviti kartveli aris)
→ დავითი ქართველია (... kartveli-a)
※ Aronson本には子音に付く短縮形として აა (aa) の形が出ていますので、それも載せておきます。使用頻度はわかりません。
・(子音に付く例)本はそこにあります
წიგნი იქ არის (TS'igni ik aris) → ... იქაა (... ik-aa)
〈出典〉☞ Aronson p.66
形容詞の後ろに短縮形の a を付けると「〜です」という文になります。
・興味深いです
საინტერესოა (saint'ereso-a)
〈出典〉☞ Beginner's p.48
補 足
変化表のオレンジで網掛けした v, KH, t、そして緑で網掛けした s と an が変化部分です。具体的にいえば、
・v は主語が1人称であること
・KH は主語が2人称であること
・t は主語が複数であること(3人称を除きます)
を示します。一方、
・s と an はそれぞれ現在形の3人称単数と複数を示す語尾です。
1. 1 否 定
文を否定形にするには動詞の直前に否定辞 არ (ar) を置きます。
1・2人称の ვარ(თ) (var (t)) と ხარ(თ) (KHar (t)) に対して:口調の関係から一般に არა (ara) が使われるようです。
3人称単数の短縮形:否定文では短縮形は使われず、通常の形が使われます。
〈参考〉☞ エクスプレス p.23/Aronson p.150 注8/Beginner's pp.60-61
わかりやすいように表にしてみます。
上の表と同様、語尾に თ (t) が付くのが複数形です。
動詞「〜です」の現在形の否定
人称 |
|
単数 |
|
複数 |
1 |
|
არა ვარ (თ)
|
|
|
ara v-ar (-t)
|
2 |
|
არა ხარ (თ)
|
|
|
ara KH-ar (-t)
|
3 |
|
არ არის
|
|
არ არიან
|
|
|
ar ar-i-s
|
|
ar ar-i-an
|
参考 ☞ エクスプレス p.23/Aronson p.150 注8/Beginner's pp.60-61
2.q'opn-a の未来形
動詞 q'opn-a の未来形(英語のwill be)は、語幹が -kn- になる点を除いて規則的です。これはi型の2類動詞に属します。
☞ この動詞の変化については「動詞, 2類動詞の現在形と未来形」の 1.2 (b) をご覧ください。
▸ 1・2人称の単数と複数は接辞 თ (t) が違うだけなので、下の表では単数と複数をまとめて表しています。語尾に თ (t) が付くのが複数形です。
- 人称
- 変化形
- 1
-
ვ-ი-ქნ-ებ-ი(-თ)
-
v-i-kn-eb-i (-t)
- 2
-
ი-ქნ-ებ-ი(-თ)
-
i-kn-eb-i (-t)
- 3 単
-
ი-ქნ-ებ-ა
-
i-kn-eb-a
- 3 複
-
ი-ქნ-ებ-იან
-
i-kn-eb-ian
参考 ☞ Aronson p.66/エクスプレス p.65