グルジア語 勉強庁
文 法
名詞の格⑴
格変化と複数形
マーク  introduction
 名詞の格と複数形についてまとめます。形容詞など修飾語の格についても簡単にふれます。
マーク  contents
〔前半〕1. 名詞の格変化
       主格  能格  与格  属格
       具格  様格  呼格
    2. 名詞の複数形
後半〕3. 名詞の格と動詞

0.はじめに

 グルジア語の名詞は文中での役割に応じて語尾が変化します。これを格変化と呼びます。現代語ではロシア語やルーマニア語、ラトビア語などにも格変化があります。
 グルジア語は語順がわりと自由なので、「私はトマトを食べる」という語順以外にも「トマトを私は食べる」のような語順も文法的に可能です。なので、文中で前の位置にあるからといって必ずしも主語とは限りません。そこで格変化の登場です。格語尾によって文中での役割がわかります。もっとも、トマトが私を食べるような状況は童話くらいにしかないでしょうが。

 グルジア語の名詞の格が印欧諸語と決定的に異なる点は、主語は主格、目的語は目的格、といった固定的な関係が必ずしもないことです。詳しくは後半の3.節で説明します。〈参考〉Aronson §5.8.1.5 (p.136)

1.名詞の格変化

 まずは名詞の格変化の形を見ることにします。
 グルジア語の名詞には7つの格があります。9つという説もあるようですが、聞かなかったことにしておきましょう。7つの格とは、主格、能格、与格、属格、具格、様格、呼格です。
 修飾語(名詞を修飾する形容詞など)の語尾変化についても簡単に記します。なお、母音で終わる修飾語は無変化です。

格:主格、能格、与格、属格、具格、様格、呼格

 マーク 1. 0 語幹と語尾

 名詞は下のように語幹語尾から成ります。語幹は(基本的に)不変化です。語尾が変化して格を示します。格に応じて変化する語尾を格語尾と呼ぶことにします。

名詞の構成:  語幹  語尾 

 〈用語の説明〉
 格変化の説明に移る前に言葉の説明をいくつかしておきます。
子音幹:子音で終わる語幹です。
母音幹:母音で終わる語幹です。
幹末母音:語幹が母音で終わるときの最後(語幹末)の母音です。

 それでは、格についてひとつずつ見ていくことにします。

 マーク 1. 1 主格

概要〕名詞の代表形です。多くの場合、主語は主格になりますが、主格にならないこともあります。この面倒くささがグルジア語の楽しい(?)ところです。
用法〕主な出番:
・他動詞(正確には1, 3類動詞)現在形や未来形のときの主語
 → 過去形や完了形のとき主語は主格になりません
・自動詞や受身動詞(ともに2類動詞)の主語
・4類動詞の主語(感情の原因、存在物など)
 ☞ 詳細は3.節をご覧ください

〕主格語尾は、語幹が子音で終わる子音幹では「- (i)」、語幹が母音で終わる母音幹では語尾なし(ø)です。

 語幹 
 語尾〔主格〕
1. 子音幹語幹が子音で終わる
- (i)
〔一般形〕-C → 
-C-i
2. 母音幹語幹が母音で終わる
語尾なしø
〔一般形〕-Xa, e, o, u → 
 -Xa, e, o, u のまま
 ※記号:C=子音,X=任意の音

修飾語(形容詞など):母音幹 → 無変化;子音幹 → 語幹 + i
 注:ここでいう「語幹」は修飾語(形容詞など)の語幹です。以下、同様です。

例を表示

主格の例:
マーク კარგ წიგნ
k'arg-i  TS'ign-i
よい本(子音幹の例)
マーク ახალ მეფე
aKHal-i  mepe 
新しい王(母音幹の例)
 
参考 ☞ Aronson §2.3.1 (pp.46-47)/エクスプレス p.27
Aronson §2.3.2 (p.47)
 グルジアのマクドナルドは語末に主格語尾の -i がちゃんと付きます!

 マーク 1. 2 能格

概要〕ある条件において、主語には主格ではなく能格を用います。
用法第1活用動詞(1・3類動詞)の過去系列(過去形や願望法)では主語に能格を用います。詳細は3.節をご覧ください。
〕能格語尾:子音幹が「- მა (ma)」、母音幹が「- (m)」です。能格では縮約(説明を表示)は起きません。

縮 約
語尾を付けるときに直前の a または e(たまに o)が落ちる現象を縮約syncope)といいます。縮約が起きるかどうかは単語ごとに決まっています。縮約が起きる母音を当サイトでは(わかるかぎり)大文字の英字転写で表します。
名詞の格変化で縮約が起きるのは属格、具格、様格です。能格と与格では縮約は起きません。

〔例〕
作 家    
主格   მწერ   mTS'erAl-i     ფანჯრა   panjAra
属格   მწერლის   mTS'erl-is     ფანჯრის   panjr-is
具格   მწერლით   mTS'erl-it     ფანჯრით   panjr-it
様格   მწერლად   mTS'erl-ad     ფანჯრად   panjr-ad
↑属・具・様格では縮約母音(赤の網掛け)が落ちて格語尾が付いている
(能格や与格では縮約は起きません)
参考 ☞ Aronson §3.2.1 (pp.67-68), §3.5.2 (p.72)/エクスプレス p.32/
Beginner's p.115
 語幹 :縮約なし
 語尾〔能格〕
1. 子音幹語幹が子音で終わる
-მა (ma)
〔一般形〕主格:-C-i → 
-C-ma
2. 母音幹語幹が母音で終わる
- (m)
〔一般形〕主格:-Xa, e, o, u → 
 -Xa, e, o, u -m
 ※記号:C=子音,X=任意の音

修飾語(形容詞など):母音幹 → 無変化;子音幹 → 名詞と同じ(語幹 + ma

補足
マーク 疑問詞「誰?」は主格と同じ:主=能 ვინ (vin)

参考 ☞ Aronson §5.2 (p.111〜)/エクスプレス p.81

 マーク 1. 3 与格

概要〕与格の代表的な使い方は、他動詞直接目的語(〜を)間接目的語(〜に)です(詳細は時・相・法によって異なります)
用法〕主な出番:
・他動詞(正確には1, 3類動詞)現在形や未来形のときの直接目的語と間接目的語
・1, 3類動詞が過去形のときの間接目的語(直接目的語は主格になります)
・4類動詞の感受者や所有者
 ☞ 詳細は後半の3.節をご覧ください
〕与格語尾は「- (s)」です。縮約(説明を表示)は起きません。

縮 約
語尾を付けるときに直前の a または e(たまに o)が落ちる現象を縮約syncope)といいます。縮約が起きるかどうかは単語ごとに決まっています。縮約が起きる母音を当サイトでは(わかるかぎり)大文字の英字転写で表します。
名詞の格変化で縮約が起きるのは属格、具格、様格です。能格と与格では縮約は起きません。

〔例〕
作 家    
主格   მწერ   mTS'erAl-i     ფანჯრა   panjAra
属格   მწერლის   mTS'erl-is     ფანჯრის   panjr-is
具格   მწერლით   mTS'erl-it     ფანჯრით   panjr-it
様格   მწერლად   mTS'erl-ad     ფანჯრად   panjr-ad
↑属・具・様格では縮約母音(赤の網掛け)が落ちて格語尾が付いている
(能格や与格では縮約は起きません)
参考 ☞ Aronson §3.2.1 (pp.67-68), §3.5.2 (p.72)/エクスプレス p.32/
Beginner's p.115
 語幹 :縮約なし
 語尾〔与格〕
 語幹末の音に関係なく
- (s)
〔一般形〕主格:-C-i → 
-C-s
〔一般形〕主格:-Xa, e, o, u → 
 -Xa, e, o, u -s
 ※記号:C=子音,X=任意の音
 

修飾語(形容詞など):母音幹 → 無変化;子音幹 → 語尾なし
(ただし「私の」などの与格は名詞と同様に (s) が付きます)

参考 ☞ Aronson §2.3.1 (p.46〜)/エクスプレス p.55

 マーク 1. 4 属格

概要〕属格はその名のとおり、所有(誰々の)や帰属を示します。
用法2つの名詞をつなぐだけのときにも属格を使います。たとえば「大学教授」は大学が属格となって「大学の教授」という言い方になります。なお、属格はロシア語の生格に相当します。
 属格のもう1つの重要な用途は動名詞です。
 グルジア語には西欧語の不定詞に当たる形がなく、動名詞を用いるため、「(目的語)を〜すること」と言いたいときには目的語の部分を属格にし、たとえば「重力の発見」のような名詞句にします。
〕属格語尾の基本は - ის (is) ですが、語幹末の音によって以下の変化があります。
 - ის (is) を付けるとき、単語によっては語幹の縮約説明を表示)が起こります。

縮 約
語尾を付けるときに直前の a または e(たまに o)が落ちる現象を縮約syncope)といいます。縮約が起きるかどうかは単語ごとに決まっています。縮約が起きる母音を当サイトでは(わかるかぎり)大文字の英字転写で表します。
名詞の格変化で縮約が起きるのは属格、具格、様格です。能格と与格では縮約は起きません。

〔例〕
作 家    
主格   მწერ   mTS'erAl-i     ფანჯრა   panjAra
属格   მწერლის   mTS'erl-is     ფანჯრის   panjr-is
具格   მწერლით   mTS'erl-it     ფანჯრით   panjr-it
様格   მწერლად   mTS'erl-ad     ფანჯრად   panjr-ad
↑属・具・様格では縮約母音(赤の網掛け)が落ちて格語尾が付いている
(能格や与格では縮約は起きません)
参考 ☞ Aronson §3.2.1 (pp.67-68), §3.5.2 (p.72)/エクスプレス p.32/
Beginner's p.115
 語幹 :縮約あり
 語尾〔属格〕
1. 子音幹語幹が子音で終わる
-ის (is)
〔一般形〕主格:-C-i → 
-C-is
2. 母音幹, 語幹末が -a, e
母音 a, e を取って -ის (is)
〔一般形〕主格:-Xa, e → 
-X -is
3. 母音幹, 語幹末が -o, u
- (s)
〔一般形〕主格:-Xo, u → 
 -Xo -s, -Xu -s
 ※記号:C=子音,X=任意の音

修飾語(形容詞など):母音幹 → 無変化;子音幹 → 語幹 + i

補足
マーク 名前の属格:姓や名の場合、語幹末が -a, -e でもこれを取らず、 そのまま -s を付けて -a-sას)、-e-sეს)とします。☞ Aronson §3 注2 (p.74)/エクスプレス p.38

参考 ☞ Aronson §3.2.1 (pp.66-67)/エクスプレス p.38
Aronson §3.4 (p.70〜)

 マーク 1. 5 具格

概要〕「具」は道具の具で、名詞単独で道具や手段を表します。ペンで(書く)、車で(行く)などに用います。ロシア語の造格に似ています。
〕具格語尾は語幹の音によって「- ით (it)」または「- თი (ti)」です。単語によっては語幹の縮約(説明を表示)が起こります。

縮 約
語尾を付けるときに直前の a または e(たまに o)が落ちる現象を縮約syncope)といいます。縮約が起きるかどうかは単語ごとに決まっています。縮約が起きる母音を当サイトでは(わかるかぎり)大文字の英字転写で表します。
名詞の格変化で縮約が起きるのは属格、具格、様格です。能格と与格では縮約は起きません。

〔例〕
作 家    
主格   მწერ   mTS'erAl-i     ფანჯრა   panjAra
属格   მწერლის   mTS'erl-is     ფანჯრის   panjr-is
具格   მწერლით   mTS'erl-it     ფანჯრით   panjr-it
様格   მწერლად   mTS'erl-ad     ფანჯრად   panjr-ad
↑属・具・様格では縮約母音(赤の網掛け)が落ちて格語尾が付いている
(能格や与格では縮約は起きません)
参考 ☞ Aronson §3.2.1 (pp.67-68), §3.5.2 (p.72)/エクスプレス p.32/
Beginner's p.115
 語幹 :縮約あり
 語尾〔具格〕
1. 子音幹語幹が子音で終わる
-ით (it)
〔一般形〕主格:-C-i → 
C- it
2. 母音幹, 語幹末が -a, e
母音 a, e を取って -ით (it)
〔一般形〕主格:-Xa, e → 
-X -it
3. 母音幹, 語幹末が -o, u
-თი (ti)
〔一般形〕主格:-Xo, u → 
 -Xo -ti, -Xu -ti
 ※記号:C=子音,X=任意の音

修飾語(形容詞など):母音幹 → 無変化;子音幹 → 語幹 + i

補足
マーク 名前の具格:姓や名の場合、属格と同様、語幹末が -a, -e でもこれを取らず、 そのまま -t を付けて -a-tათ)、-e-tეთ)とします。☞ Aronson §3 注2 (p.74)/エクスプレス p.38
マーク 疑問詞「何?」:主 რა (ra), 具 რითი (riti)

参考 ☞ Aronson §3.2.1 (pp.66-67)/エクスプレス p.45
Aronson §3.4 (p.70〜)

 マーク 1. 6 様格

用法〕様格の基本的な使い方は次の2つです。
 (1) 形容詞を様格にすると副詞になる
 (2) 様格を要求する動詞とともに使う(〜として働く、〜とみなす、など)
 このほか (1) の亜型として、言語名を様格にすると「〜語で、を」の意味になります。☞
〕様格語尾は、子音幹では「- ად (ad)」、母音幹では「- (d)」です。単語によっては語幹が縮約(説明を表示)します。

縮 約
語尾を付けるときに直前の a または e(たまに o)が落ちる現象を縮約syncope)といいます。縮約が起きるかどうかは単語ごとに決まっています。縮約が起きる母音を当サイトでは(わかるかぎり)大文字の英字転写で表します。
名詞の格変化で縮約が起きるのは属格、具格、様格です。能格と与格では縮約は起きません。

〔例〕
作 家    
主格   მწერ   mTS'erAl-i     ფანჯრა   panjAra
属格   მწერლის   mTS'erl-is     ფანჯრის   panjr-is
具格   მწერლით   mTS'erl-it     ფანჯრით   panjr-it
様格   მწერლად   mTS'erl-ad     ფანჯრად   panjr-ad
↑属・具・様格では縮約母音(赤の網掛け)が落ちて格語尾が付いている
(能格や与格では縮約は起きません)
参考 ☞ Aronson §3.2.1 (pp.67-68), §3.5.2 (p.72)/エクスプレス p.32/
Beginner's p.115
 語幹 :縮約あり
 語尾〔様格〕
1. 子音幹語幹が子音で終わる
-ად (ad)
〔一般形〕主格:-C-i → 
-C-ad
2. 母音幹語幹が母音で終わる
- (d)
〔一般形〕主格:-Xa, e, o, u → 
 -Xa, e, o, u -d
 ※記号:C=子音,X=任意の音

修飾語(形容詞など):母音幹 → 無変化;子音幹 → 語尾なし

参考 ☞ Aronson §3.2.1 (pp.66-67)/エクスプレス p.71
Aronson §3.4 (p.70〜)

 マーク 1. 7 呼格

概要〕最後は呼格です。呼びかけるときに使います。呼びかけるのになぜいちいち形を変えるのか理解できませんが、基本は語幹のようなので、それほど奇妙なものではなさそうです。
〕基本は語幹です。普通名詞は条件によって「- (o)」などが付きます。

 語幹 
 語尾〔呼格〕
1. 固有名詞
語尾なし(ø(語幹のみ)
〔一般形〕主格:-C-i → 
-C
〔一般形〕主格:-Xa, e, o, u → 
-Xa, e, o, u のまま
2. 普通名詞
2a. 子音幹語幹が子音で終わる
- (o)
〔一般形〕主格:-C-i → 
-C-o
2b. 母音幹で多音節
語尾なし〔または- (v)
〔一般形〕主格:-Xa, e, o, u → 
 -Xa, e, o, u (-v)
2c. 母音幹で単音節
- (o) 〔または - (v)
〔一般形〕主格:-Xa, e, o, u → 
 -Xa, e, o, u -o (v)
 ※ 2bと2cの語尾はどちらでもいいようです。
  語末の v は弱く発音されるので大差はないと思われます。
 ※記号:C=子音,X=任意の音

修飾語(形容詞など):母音幹 → 無変化;子音幹 → 名詞と同じ(語幹 + o

参考 ☞ Aronson §6.5 (pp.146-147)/エクスプレス p.49

 マーク 1. 8 格と後置詞

 ヨーロッパ語の前置詞に当たる言葉はグルジアでは名詞の後ろに置かれます。したがって後置詞と呼ばれます。日本語の助詞の要領です。ただし、後置詞を付けるときの名詞の格は後置詞ごとに決まっています
 たとえば、後置詞 ში (SHi)「〜に」を付けるときの名詞の格は与格です(ただし、与格語尾の s が消えるので外見上は与格に見えないという奇妙さ……)。

2.名詞の複数形

 グルジア語の名詞の複数形は、西欧語とは少し趣が違います。名詞を複数形にするには語幹に複数接辞「- ებ (eb)」を付け 、その後ろに格に応じた格語尾を付けます。格語尾は単数形と同じです。ロシア語みたいに単数と複数で格語尾が違うなどという理不尽なことはありません。
 要するに、ある格における単数と複数の違いは複数接辞「- ებ (eb)」だけということになります。ただし、下に示すような多少の規則があります。
 修飾語:名詞を修飾する形容詞に複数形はなく、単数と複数は同形です。

名詞の複数形:  語幹 +複数接辞 ებ (eb) +  格語尾 
(※名詞を修飾する形容詞=単複同形)

マーク 複数形における規則
1. 語幹が母音 -a で終わる:母音 -a を取って複数接辞 ებ (eb) を付ける
2. 縮約:単数の属格、具格、様格で縮約する単語は、複数形の全格で縮約を起こす。
例を表示

〔複数形の例〕
労働者(a母音幹)     作 家(縮約)
単数主格   მუშა   muSHa     მწერ   mTS'erAl-i
複数形    
主格   მუშებ   muSH-eb-i     მწერლებ   mTS'erl-eb-i
能格   მუშებმა   muSH-eb-ma     მწერლებმა   mTS'erl-eb-ma
与格   მუშებ   muSH-eb-s     მწერლებ   mTS'erl-eb-s
属格   მუშების   muSH-eb-is     მწერლების   mTS'erl-eb-is
具格   მუშებით   muSH-eb-it     მწერლებით   mTS'erl-eb-it
様格   მუშებად   muSH-eb-ad     მწერლებად   mTS'erl-eb-ad
参考 ☞ Aronson §4.2 (pp.88-89)/エクスプレス p.32
 マーク 特別な複数語尾 -ni, -t(a)
 一部の名詞は、上記のような複数接辞 ებeb)ではなく、下のような複数語尾を付けてつくります。この複数語尾は主格と主格以外の2つしかありません。
 ※このタイプの名詞は古いグルジア語に由来するようです。
 特別な複数語尾
主格-ნი  ni
主格以外- ()  t(a)
縮約はすべての格で起こりません
※主格以外の -t と -ta の区別がよくわかりません……。
参考 ☞ Aronson §5.6
〈例〉名前
単数主格სახელ-   saKHel-i
複数:
主格სახელ-ნი   saKHel-ni
主格以外სახელ-()   saKHel-t(a)
〈例〉ペン
単数主格კალამ-   k'alAm-i
複数:
主格კალამ-ნი   k'alAm-ni
主格以外კალამ-()   k'alAm-t(a)
※2つめの母音 a は縮約母音(英字表記ではA)ですが、この複数語尾では縮約は起こりません。
参考 ☞ Aronson §5.6
revisions
2015.12.09 属格と具格の説明に名前の例外を追加
2015.1.14 スマホ表示に対応
2015.1.09 「特別な複数語尾 -ni, -t(a)」を追加
2013.5.21 初 版