1. 名詞の格 2. 形容詞の格
3. 動詞「〜です」 4. 動詞にまつわるあれこれ 4.1 動詞の代表形 4.2 2人称単数形/3人称複数形 4.3 動詞の否定 5. 語 順 5.1 疑問文 5.2 語順の傾向 |
1.名詞の格
1. 1 格と語尾
名詞は文のなかでさまざまな働きをします。「このパソコンは」というときは文の主題です。「手紙を」は動作の目的や結果を表します。「自転車で」は交通手段ですね。
日本語ではそうした役割を助詞(てにをは)で示しますが、グルジア語ではおもに名詞の語尾(格語尾)によって区別します。
1. 2 格の役割
グルジア語の格には、主格、能格、与格、属格(生格)、具格(造格)、様格(副詞格)、呼格があります(多い!)。名詞を代表する形は主格です。辞書の見出し形と思えばいいでしょう。
グルジア語の格で重要なことは、格が文中の働きだけで決まるのではなく、時制や法などとの組み合わせで決まるということです。たとえば、主語だから主格を使うとは限らず、目的語だからといって与格を使うとは限らないのです。最初のうちはカオスに思えますが、そのうち諦めがつくことでしょう(笑)。
1. 3 名詞の構成
詳しい話は別項に譲るとして、ここでは名詞の基本構成だけ見ておくことにします。
名詞は、核となる無変化の 語幹 に、格や数を示す 語尾 が付いた形をしています。
たとえば主格は、語幹が子音で終わるときは語尾が「-i」になり、語幹が母音で終わるときは語尾なし(ø)です。
主格 | 属格 | 英字表記 | |
学生 | - | - | st'udent' - i, is |
教会 | - | ek'lesia, ek'lesi - is |
▸ 上の青字または水色の部分が語幹で、オリーブ色の部分が語尾です。「教会」は語幹が母音で終わるため主格には語尾がありません。
2.形容詞の格
名詞を修飾する形容詞は、修飾先の名詞と同じ格になります。形容詞の格変化はかなりシンプルなので名詞ほど面倒ではなさそうです。とくに、語幹が母音で終わる形容詞の場合、名詞の直前に置かれると無変化になるのでラッキーです。
格変化の詳細は別項に譲ります。
3.動詞「〜です」
4.動詞にまつわるあれこれ
グルジア語の動詞はややこしいです。でも最初から全部を知る必要はないので、必要なところから理解していけば十分と思います。以下では予備知識的なメモをいくつか書きます。
グルジア語の動詞の代表形(たとえば辞書の見出し形)は動名詞です。印欧語によくあるような不定詞はありません。ただし、動名詞はあくまで代表形であり、動名詞から動詞の変化を知ることができません。そのため、入門書の語彙欄などでは、動詞の変化がわかるように(動詞のタイプに応じて)3人称単数現在または未来の形が示されています。
(a)2人称単数形
2人称の単数形については以下の説明をお読みください。当サイトでは原則として2人称に複数形を使っています。とはいえ、2人称の単数形と複数形の違いは動詞語尾に (t) が付くかどうかだけなので、形のうえでは大した違いはありません。
見知らぬ相手や目上の人に対しては、相手がひとりの場合でも主語および動詞の形に2人称複数形を使います。2人称単数形を用いるのは、相手が家族や友だちなどで、ひとりの場合です。日本語の敬語(ですます)とタメぐちの違いに近いのではないかと思います。フランス語やロシア語などの使い分けと同様です。
〈参考〉☞ Aronsonテキスト p.50 注1/エクスプレス 1課-2(p.22)
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(b)3人称複数形
3人称の主語が無生物の場合は、主語が複数であっても3人称単数形を使うのが普通です。3人称複数の形を使うのは、主語が複数の人や動物(有生物)の場合です。
〈参考〉☞ エクスプレス p.32, 2項/Aronson p.89
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動詞を否定するには動詞の直前に否定辞 (ar) を置きます。
一部の短い動詞(たとえば、動詞 q'opn-a〔〜です〕の変化形 var や KHar のような単音節の動詞)のときは (ara) がよく使用されます。規則というより口調の関係のようなので、 (ar) でも間違いではないようです。
〈参考〉☞ Aronson p.150 注8/エクスプレス p.23/Beginner's pp.60-61
動詞の全体を概観するには ☞「動詞, 概要」をどうぞ。
5.語 順
Yes/noを問う疑問文の場合、語順は平叙文と同じです。文末のイントネーションを上げます。 疑問詞は動詞の直前に置きます。
〈参考〉☞ Beginner's p.51, pp.89-90/エクスプレス p.27
〔例〕
・このかばんはあなたのですか?…… yes/noを問う疑問文
(es CHanta tkveni-a?)
・あの学生はどこにいますか?…… 疑問詞を使った疑問文
(is st'udent'i sad aris?) ※ (sad) = どこ
〈出典〉☞ エクスプレス p.28, p.29
語順については以下の傾向があるようです。
一般に語順はかなり自由。語順によって力点やニュアンスが変わる。
動詞は文末に来ることが多い。
一般に主語は目的語より前に来る。
否定辞と疑問詞は動詞の直前に置く。
疑問文に対する答えでは、答えに当たる部分を動詞(否定辞があるときは否定辞+動詞)の直前に置く
〈参考〉☞ Aronson 2.4 p.47/エクスプレス p.27/Beginner's pp.87-88
〔例〕疑問詞を使った疑問文とその答え
・あなたの車はどこにありますか?
(tkveni mankana sad aris?)
— 私の車はあそこにあります
(CHemi mankana ik aris) ※ (ik) = あそこに
〈出典〉☞ エクスプレス p.27
revisions | |
2013.4.26 | 後編から指示詞を分離し、前編と統合して再編 |
2013.3.17 | 動詞「〜です」を分離し、否定・疑問・語順などを追加 |
2012.2.10 | phpへの移行、全般的な加筆修正 |
2001.11.14 | 初 版 |