0.はじめに
「これ」「その」のように事物を指し示す言葉を文法的に指示詞といいます。
このうち「この」「その」「あの」など事物を特定するものを指示形容詞、
「これ」「それ」「あれ」のように事物を指し示す言葉を指示代名詞と呼びます。
1.指示形容詞
指示形容詞(この、その、あの)の形は簡単です。
変化:主格に付く形とそれ以外の形の2種類ずつしかありません。
単数と複数は同形です。
修飾する名詞が後置詞を伴う場合は主格以外に付く形になります。
修飾先 | この | その | あの | |||||
主格: | es | eg | is | |||||
主格以外: | am | mag | im |
〈参考〉
Aronson 5.5.1 (pp.117-118), p.122 注6/エクスプレス 4課/Beginner's pp.90-91
この部屋 | その部屋 | あの部屋 | |||
主格: | |||||
es otaKH-i | eg otaKH-i | is otaKH-i | |||
〜の中に: | |||||
am otaKH-SHi | mag otaKH-SHi | im otaKH-SHi |
➤「どの」は romel-i
2.指示代名詞
指示代名詞(これ、それ、あれ)の大きな特徴は次の3点です。
単数主格形:「この」「その」「あの」と同じ es, eg, is
主格以外の単数:語幹が ama, maga, ima になり、これに格語尾が付く。
複数形:主格とそれ以外の2種類ずつ。なお、複数形については具格と様格が載っておらず、詳細不明です。
以上をまとめると下表のようになります。
<単数> | これ | それ | あれ | ||||||
主格: | es | eg | is | ||||||
能格: | ama-n | maga-n | ima-n | ||||||
与格: | ama-s | maga-s | ima-s | ||||||
属格: | am-is | mag-is | im-is | ||||||
具格: | am-it | mag-it | im-it | ||||||
様格: | ama-d | maga-d | ima-d | ||||||
<複数> | これら | それら | あれら | ||||||
主格: | ese-ni | ege-ni | isi-ni | ||||||
能格┐ 与格├ 属格┘ |
ama-t | maga-t | ima-t | ||||||
具格┐ 様格┘ |
? | ? | ? |
〈参考〉Aronson 5.5.2 (p.118), §5 注6(p.122)
➤ 追記の接辞「〜も」が付くと、以下の形になります。
これも: es-e-TS/ あれも: is-i-TS
☞ Aronson §5 注6(p.122)
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2013.4.25 | 「第一歩」からの分離と「それ」の追加 |
2001.11.14 | 初 版 |